キャラを自覚して人材市場に挑め
著者・松本 利明
KADOKAWA、定価1400円+税
コンサルタントの立場から企業人事および人材市場の実態をよく知る著者は、普通の勤労者のためのキャリア論を本書に語っている。
今の会社に居続けても成長できそうもないなら、賞味期限が切れる前に、いっそ横スライドしてはどうかとキャリアの選択肢に転職を加えるよう提案している。ただし、同じ職種の仕事でも、転職先がそもそも儲かる業界なのか、その会社は業界で1位か、成長期か衰退期か等によって待遇に歴然とした差がつく事情も明かす(衰退期の会社であっても本人の得意分野が事業再生なら活躍のチャンスは大きいとも指摘している)。
スキルの棚卸とはいっても普通に会社勤めをしている限り強みや実績に大差がないのは当然だとして“持ち味”による希少性に着目。それを「人材キャラ」と言い当てて、資質に基づく“向いていること”をベースに人材市場と向き合うスタンスをアドバイスしている。
他者の視点を借りた持ち味の見つけ方、人事デューデリジェンスの切り口による会社の見定め方のレクチャーも興味深い。
(久島豊樹/HRM Magazine より)