「今日、休みます」と言えるように
著者・志村 和久
イースト・プレス、定価1300円+税
体調が悪くても「今日、休みます」と言えない心理構造を掘り下げ、
改めて勤労者の権利行使を促す1冊。職場の空気、仕事への自負、処遇の不利益等を案じる余り有休取得に罪の意識を感じ“休みたいのに休めない”心のブロックを脳の仕組みから解き明かすアプローチが興味深い。休暇申請をためらう心の正体は、無意識に刷り込まれた価値観(サボってはいけない、迷惑をかけてはいけない、出世に傷がついてはいけない、等)や過去の記憶(上司に怒られた、同僚から嫌味を言われた、
同僚が休んでひどい扱いを受けた、等)にあるとし、不要な価値観を捨て去る方法を伝授する。ただ、安全・安心・現状維持を求めるバイアスは強固ゆえに、強い意思を持って自らの潜在意識を味方に付けていくプロセスが不可欠だとも語る。「休みます」と言えるように「人生どうしたいのか」までを考え抜き、20年後のあるべき姿を想定して「あのときの行動(休暇届を出す)」を振り返る思考訓練法も提案。滑稽さと紙一重のところでシリアスな記述を貫いている。
(久島豊樹/HRM Magazine より)