多様化とエンゲージメントの両立を訴求
著者・小笹 芳央
KADOKAWA、定価1400円+税
「個人と企業の関係は“One for All, All for One”に集約される」という前提に立つとき、働く人たちの多様化・複雑化が進む今こそ“for All”の束ねを確実に押さえておく必要があると著者は警告する。
“for One”に偏重した働き方改革を進めると、組織は崩れ、取り返しがつかなくなると負の側面に着目した視点は秀逸だ。例えば、ノー残業デーやプレミアムフライデーを設けても、その日どうしても忙しい現場は生産性を下げるか闇残業をするかしかなく、策は裏目に出ると指摘。また、女性管理職比率を目標値に掲げても、そもそも管理職になることが活躍なのかと疑う。完全フリーアドレス制を導入した結果、誰がどこにいるか分からなくなる非効率が拡大した自社での失敗談も語りながら、多様化と統合の両立策を探っている。
突き詰めると、その鍵はエンゲージメントに行き着くとして、数々の社内コミュニケーションへの投資、16の要素(64のポイント)による指標化、期待度と満足度による4象限での分析等、実践事例を踏まえた打ち手を提案している。
(久島豊樹/HRM Magazine より)