Q 2020年4月1日施行の改正派遣法への対応は、いつまでに準備をすればよいでしょうか。
A 2019年秋にはある程度準備しておく必要があり、遅くとも2020年2月までに準備完了しなければ間に合いません。厚生労働省発行の「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル~改正労働者派遣法への対応~」32ページ最下段に次のように記載されています。
「改正法の施行は2020年4月1日です。2020年4月1日をまたぐ労働者派遣契約についても適用されますので、施行日までに派遣先から比較対象労働者の待遇に関する情報提供を受けて、労働者派遣契約の変更等を行う必要があります。」
前回の2015年改正は、施行日以降に締結した派遣契約から改正法が適用されましたが、今回の改正は一斉に適用されます。
2020年4月1日から、派遣先方式・労使協定方式どちらを適用する場合でも情報提供を受けなければならず、これを3月に実施するのであれば、改正派遣法への具体的対応策は2月までに決めておく必要があります。これは最短で派遣先と交渉が成立する場合のことで、実際には難航が予想されることからできるだけ早く準備を進める必要があります。
改正法に対応するために2020年3月末に全ての派遣契約を期間満了し、4月1日から改正法の契約を締結することを予定する派遣会社もあるようですが、派遣契約は圧倒的に2カ月、3カ月の契約が多く、4月に全てを切り替えると2と3の最小公倍数である6カ月後に再び全ての派遣契約を更新することになり、事務負担が増大し残業時間の上限規制との兼ね合いが気がかりです。そのため、施行日をまたぐ派遣契約は変更で対応することで更新時期をバラバラにすることが現実的ではないかと思います。
改正派遣法の対応スケジュールの例
2019年5月~7月 協定方式に対応するため、現在派遣している職種の整理
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職種ごとに従事する作業の難易度などの区分を3~5段階に整理
2019年6月~7月 一般賃金の公表
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2019年7月~10月 現行の賃金と一般賃金を比較し賃金テーブルの整備
労使協定方式の賃金以外の待遇の点検、是正
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2019年10月~ 派遣先に派遣先方式・労使協定方式の説明と派遣料金の交渉開始
2020年 1月~ 派遣先への情報提供依頼、派遣社員への説明、労使協定締結、
就業規則改正など
(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)