現場に精通した社労士による手引書
著者・小岩 広宣
秀和システム、定価1500円+税
4月から「働き方改革」関連法が本格施行され、年次有給休暇の取得義務化、時間外労働の上限規制の強化などがスタートした。いずれも企業経営に直結するテーマであり、中小企業にも順次罰則が適用されるため、労務管理のルール構築や生産性の向上などが急務だ。
本書では、テーマが幅広く改正点が複雑な「働き方改革法」について、中小企業経営者や人事担当者の視点に立ち、実務の土台となる基本知識や法律を図解と図表を交えて要所をコンパクトに解説している。これから直面するとみられる問題を、項目ごとにケーススタディを紹介して説明しているため、“消化不良”に陥ることなく現場で活用できそうだ。
第1章で「働き方改革」の全体像を時代背景なども織り交ぜて説明し、第2章は「有給休暇」の義務化、第3章が「時間外労働」の上限規制、第4章は新たな時代の「労働時間のルール」、第5章はパート・契約社員・派遣労働者の「同一労働同一賃金」――の全5章の構成で、中小企業が対応すべき法施行の順番になっている。
著者は派遣会社の管理部や派遣労働者も経験している社労士で、派遣法分野における著書や講演、指導実績も豊富だ。「働き方改革」の中でもとりわけ難解なルールとなる派遣労働者の「同一労働同一賃金」への手引きとしても、参考になるだろう。 (司)