全国の自治体で首長と議員の選挙を実施する、4年に1度の統一地方選挙(統一選)が3月21日にスタートした。19回目となる今回の統一率は約27%で、全国の自治体の3割を切っている。制度が始まって70年余りの間に、市町村合併や震災、任期途中の辞任、出直し選など、それぞれの自治体の事情によってズレが生じ、統一率は回を重ねるごとに減少傾向にある。「それでは仕方あるまい」と思いつつ、「統一」の呼び名に限界も感じてきた。
統一選の狙いには、選挙への関心を高める効果があるという。執行する自治体が全体の四分の一程度になったとは言え、確かに新聞・テレビなどのメディアは話題の選挙区の動向を中心に連日報じている。今年は、統一選後の7月に国政選挙である参院選(半数改選)が続くとあって、その前哨戦との位置付けで注目している様子だ。
これまでも、メディアは統一選の結果を国政レベルの政党間の“勝ち負け”につなげる見方をしてきた。政党政治を軸とする国政選挙の際に、それぞれの選挙区エリアで「最前線の集票部隊」となって奔走してくれるのが、知事や各市町村の首長、議員となるからだ。国会議員は自分の選挙に強く影響する地方選を軽んじることはできず、統一選の候補者たちの応援に走り回る。ましてや、統一選と参院選が重なる12年に1度の「亥年選挙」となれば、地方選が国政を巻き込んだ“一大イベント”になるのもうなずける。
ところで、肝心の有権者は今回の統一選に関心を持っているのだろうか。「平成最後の」「選挙権18歳以上になって初の」といった今回に限った特別のキーワードもあるのだが、いまのところ盛り上がりに欠ける感も否めない。しかし、政治に緊張感を持たせる責務は私たち有権者側にあり、傍観はしていられないはずだ。「統一選、恐るべし」と歴史に刻まれるような高投票率に期待したい。統一率のように、回を重ねるごとに低下していかないように。 (司)