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2019年3月21日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」12・過重労働防止対策の強化

Q 2019年4月1日から改正安全衛生法が施行され、過重労働対策が強化されるそうですが、具体的にどのような変化があるのでしょうか。

nakamiya03.png 過重労働対策と言えば、労基法の時間外労働上限規制ばかりに注目が集まっていますが、安全衛生法も改正します。過重労働対策目的の改正は、面接指導制度の強化と労働時間状況把握義務の2点です。労基法と異なり中小企業の適用猶予はなく、全企業一律2019年4月1日から適用を受けます。

① 面接指導制度の強化 
 医師による面接指導義務の対象となる1カ月の時間外・休日労働時間数を100時間から80時間に短縮します。労基法改正により1カ月100時間以上の時間外労働が禁止されることに対応した改正となります。面接指導は、1カ月の時間外・休日労働が80時間超、疲労の蓄積が認められる、労働者から申し出の3要件が揃った場合に実施するものですが、例外として研究開発業務従事者、高度プロフェッショナル制度適用者に関しては、時間外・休日労働(高プロは健康管理時間)が100時間を超えた場合、労働者からの申し出がなくても面接指導を実施しなければなりません。これら例外対象者については、本人の申し出があれば80時間超で実施、本人の申し出がなくとも100時間超で実施となります。

 面接指導後に医師の意見を聴取し講ずる労働者への措置は以下の通りとなります。

80時間以上、労働者の申し出により実施した場合 就業場所の変更
作業の転換
労働時間の短縮
深夜業の回数の減少
研究開発業務、高プロ適用者
100時間以上で実施した場合
就業場所の変更
職務内容の変更
法定以外の有給休暇付与
労働時間の短縮
深夜業回数の減少

 

 

② 労働時間状況の把握義務
 賃金台帳に時間外労働時間を記載する義務があることから、当然のように労働時間の記録をつけていましたが、把握義務が課されるのは初めてです。把握の方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法によることとされております。また、80時間を超えて時間外・休日労働を行った場合は、本人に超過時間について速やかに通知する義務が新たに設けられましたが、給与明細に時間外・休日労働時間数が記載されている場合、これをもって通知とする取扱いが認められています。

(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

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