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2019年3月 5日

【ブック&コラム】『人が集まる会社 人が逃げ出す会社』

社員の心を温める経営とは?

c190305.jpg著者・下田 直人
講談社、定価820円+税

 

 業績数値を最大に上げても、人材定着率の悪い企業に未来があるかどうかは疑わしい。一方で、利益第一には価値を置かず人を大事にして中長期の成長を維持している会社もある。この両者の違いにつき著者は、人の心を「冷やす」か「温めるか」の差だと言い当てる。

 人材定着率は必ずしも労働条件(給与・休日・残業時間、等)の整備状況には比例せず、冷やす会社は「働き方改革」を掲げ残業削減を至上命令にしても、かえって雑談の余地もなくなり人間関係が断たれ、時間に追われサービスのクオリティが下がり、顧客を裏切る悪循環に陥ると失敗例を挙げて警告している。対して温める会社には「良心」の発揮しやすい環境が醸成されていると描写し、細かいルールではなく、フェイス・トゥ・フェイス、多様性重視のコミュニケーションをベースに、顧客に喜ばれ、やりがいを感じる関係が機能していると解説。

 人は「良心」の通りに行動できたときに「快」を得るという法則を見出し、働くことで得られる体験と感情を重視した、人の集まる経営を勧めている。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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