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2019年2月19日

【ブック&コラム】『残業学』

残業削減の先にあるべき希望とは?

c190219.jpg著者・中原淳+パーソル総合研究所
光文社、定価920円(税別)

 

 2万人対象の大規模な調査から「長時間労働」を学際的に扱った論考。ただし、分析の過程で見極められた問題の本質を10の講義(オリエンテーション+8講+最終講)に分類整理し、立場・年齢の異なる4人の受講生と質疑を重ねていくスタイルで構成しているので、読みやすさ、分かりやすさは抜群だ。長時間労働の実態解明に加え、残業を減らした後にあるべき我々の社会の姿までを考察し「希望の残業学」につなげている。

 “若いときには量をこなさないと成長しない”といった古典的な努力信仰論に対しては、それは未来志向の良質な学びなのかと問題提起で返す。残業は、できる人に集中し、職場に感染し、部下たちに遺伝すると言い当て、組織的・構造的に発生している現象ゆえ、個人の能力不足にすり替えたり残業禁止を強制したりしても解決にならないと指摘する。

 残業を減らす効果的な外科手術の手法に踏み込む一方、その限界も認め、骨太で生産性の高い職場を作るための「希望のマネジメント」と「希望の組織開発」を導き出している。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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