Q 労働基準法改正後の36協定に特別条項を定める場合、健康福祉確保措置を講じなければならないとされていますが、具体的に何をするものでしょうか。
A 2019年4月労基法改正により、36協定に特別条項を定める際には、健康福祉確保措置を指針で定める9項目から選択し、定めなければなりません。講ずる措置は1種類でも差し支えありませんが、過労による健康障害を防止するために必要な措置を複数選択しておくことが望ましいと思います。例えば、下表6のまとまった年休取得促進だけを選択している場合、忙しすぎて年休を取得できないことがあるかもしれません。そのようなときのために別の選択肢も用意した方が良いでしょう。
指針で定める健康福祉確保措置
1 | 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること |
2 | 深夜に労働させる回数を1カ月について一定回数以内とすること※ |
3 | 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること |
4 | 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること |
5 | 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること |
6 | 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること |
7 | 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること |
8 | 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること |
9 | 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による指導を受けさせること |
※2の深夜労働回数の制限の「一定回数以内」の回数は労使の協議により事業所ごとに定めるものとされています。
実施記録の作成、保存義務
健康福祉確保措置の実施記録を作成し、36協定有効期間終了後3年間保存してください。
2019年4月1日から1年間の36協定を締結した場合、2023年3月31日まで保存義務があります。実施記録の様式、記載事項は法令で規定されていませんが、講じた措置の内容、年月日を記録すれば足りると思われます。
(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)