今年の通常国会が28日に召集された。150日間にわたる会期の中盤には、統一地方選や衆院補選、皇位継承に伴う関連式事があり、例年にも増してタイトな国会日程になりそうだ。こうした動きを見越して、政府は提出法案を最小限の50本台に絞り込むほか、与野党激突型の法案は見送る模様だ。平成時代から新たな元号に変わる節目の年にふさわしい、地に足の着いた国会運営と審議を望みたい。
しかし、そうした期待も空しく打ち砕かれそうな展開となっている。厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査問題が拡大を続け、収束する気配がない。不正調査そのものの問題に加え、不正解明にあたる特別監察委員会の「第三者性」に重大な疑義が浮上。政府と厚労省が事態の鎮静化と幕引きを急ぎ過ぎ、政治問題化している。
振り返ると、昨年の通常国会冒頭は、同じく厚労省の裁量労働制に関する不適切な調査データ処理問題で紛糾。3月には学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却に絡む一連の問題が再燃し、法案審議に大きな影響を与えた。国民の安倍内閣への不信は高まったが、一方で野党の審議拒否戦術も共感を得られず、「働き方改革関連法」など肝心の法案審議が深まらないままドタバタの中で会期末を迎えた。
今国会は新年度予算のほか、幼児教育・保育の無償化に関連する法案や4月の外国人労働者の受け入れ拡大に伴う健康保険法改正案など、国民生活に直結する法案がある。10月の消費増税による反動減対策を盛り込んだ所得税法改正案なども注目される。150日という会期は相応な期間だが、通常、本会議と各委員会は土日・祝日に開かれないため、今年で言えば会期中の平日は既に100日もない。「政府も与党も野党も、1日たりとも無駄にしないで」という願いが、もはや祈りになりつつある。(司)