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2018年5月 8日

【書評&時事コラム】『殿様は明治をどう生きたのかⅡ』

突然、「殿様」ではなくなった人々の人生

c180508.jpg著者・河合 敦
洋泉社歴史新書、定価950円+税

 

 今年は明治維新(1868年)から150年ということで、「幕末・明治」がまたブームになっている。が、大体は維新の立役者を巡る新事実や視点を変えた解釈などが主で、歴史に埋もれた事実の発掘はそれほど多くない。

 本書は、江戸時代の全国260以上あった藩の中から、幕末から明治にかけてユニークな活躍をした藩主を抜粋、その足跡を追ったもの。徳川慶喜、安藤信正らの有名人をはじめ、九鬼隆義(三田藩)、加納久宜(一宮藩)などの“無名藩主”まで12人を取り上げている。

 とりわけ、桜田門外の変後の彦根藩、戊辰戦争では幕府側に付いた鶴岡藩(庄内藩)など、バリバリの譜代だった両藩が明治期をどう生き延びたのか、「その後」はあまり注目されないだけに、藩主の健闘努力ぶりが印象に残る。

 本書は4年前に出た「殿様は明治をどう生きたのか」の続編。2冊を通読すれば、かなりの幕末・明治通になることは間違いない。明日がどうなるか見通せなかった大転換期をどう乗り切ったか、明治政府を中心にした通説とはまた違う一面も見えてくる。(俊)

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