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2018年1月23日

【書評&時事コラム】「非日常」の雪の楽しみ

 正月以来、首都圏は穏やかな晴天が続いていたが、22日夜、ついに大雪に見舞われた。関東では毎年1、2回はこうした雪景色が出現するが、不思議なことに、雪の襲来を承知していながら、鉄道も車も十分な備えをせず、運行に大幅な遅れが生じる。

c180123.jpg テレビや新聞は「首都圏の足、大混乱」などの見出しで、十年一日のニュースを伝える。すってんころりんで何人がケガをした、店の雪かき用具が飛ぶように売れたなど、過去のニュースの数字だけを変えればそのまま使えるニュースばかりのように思える。人間とはここまで学習能力のない生き物だったかと自嘲気味に思う。

 雪国の新潟県で生まれ育った私も、首都圏に住み着いてはや半世紀。歴史に残る「三八(さんぱち)豪雪」をはじめ、来る日も来る日も降ってくる雪をどかし、雪と共存してきた遠い記憶がよみがえる。

 この雪も、数日すればあらかた消えることだろう。首都圏にとって、雪はあくまで“話題”でしかなく、日常生活に彩を与える「非日常」なのであろう。だから、おっかなびっくり歩くサラリーマンたちの姿も、何となく非日常を楽しんでいるようにさえ見えてしまう。私もその一人。新雪を踏むと聞こえるキュッキュッという音に、言い知れぬ懐かしさが込み上げてくる。(俊)

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