「良い会社を」をデータで“見える化”
著者・坂本光司、渡辺尚
あさ出版、定価1400円+税
法政大学大学院教授の坂本光司氏が2008年に出した『日本でいちばん大切にしたい会社』は、その後、ジワジワと賛同の輪を広げ、「良い会社とは何か」を考えさせるバイブルとなっている。本書は、坂本氏とタイアップし、「良い会社」の社員調査で得たデータを加工して、浮かび上がった共通項を“見える化”しようと試みたもの。
全体は3部に分かれているが、本書の中心は5万人の調査で得た「良い会社をつくるための7つのキーワード」だ。「社員の幸せが大切にされている」「経営理念が実践されている」「協力企業やお客様を大切にしている」などが並び、7項目ごとにその理由と実践企業例を挙げている。
どれも当たり前のことであり、「言われなくてもわかっている」と思う経営者も多いであろう。だが、「良い会社」の多くが安定的に好業績を上げており、1年や2年で「良い会社」になったわけではないことがわかれば、改めて検討してみる価値はありそうだ。
世間では「優良な大企業」と評価されている会社でも、過労死や粉飾決算が絶えない現代。「良い会社」とはどんな会社なのか、本書の「簡易診断」を通じて考えてみるのも有効であろう。 (俊)