夫婦ともに65歳以上の「老老介護」世帯が54.7%の過去最高――。そんな新聞記事を読んで、「どちらかが介護が必要になった時に備えておかなければ」と思って、がく然とした。私は67歳、妻は66歳。「備えておかねば」どころではない。老老介護の仲間入りは、すぐそこではないか。
老老介護と聞くと、どうしても、介護に疲れた夫(妻)による介護殺人、先行きを悲観した心中などの暗いニュースが頭に浮かぶ。人生の終盤期に来て穏やかな日々を送るどころか、地獄のような状況に置かれる不条理には納得できないなあ。そんなことばかりではないとは思うが、世界で1、2を争う長寿国日本の「何がめでたい」というのか。
介護を一人で背負わずに、ヘルパーの助けを借りる、相手に施設に入居してもらうなど、公私の介護サービスを使って、少しでも負担を減らすしかなさそうだ。幸い、さまざまなサービスも登場しており、「老老介護は2人が家で」という旧来の固定観念は薄れつつある。
ただ、どういう介護形態になるにせよ、自分のことを最もよく知り、長年連れ添ってきた相手との“付き合い”は絶やしたくない。お互いの思いやりこそが、老老介護の成否を握るカギになるのかもしれない。妻にそう申し上げたら、「この年になってやっとわかったの?」とでも言いたげな視線が返ってきた。ああ、もう手遅れ!(俊)