100年続く「人づくり経営」を提案
著者・大石 豊司
現代書林、定価1400円+税
著者は銀行出身の税理士という立場だが、本書で語られる経営指南のほとんどの部分は「人」関連のテーマで占められている。顧客企業で見聞きした中小企業の経営実態と、ご自身が運営する会計事務所の事例をベースに職場づくりのアドバイスを熱く語っている。
実際に長続きしている企業では社員を大切にしているという共通点を根拠に、社長には人材育成への投資(時間・費用・労力)を求め、中小企業が目指すべきは100億円企業ではなく100年企業だとも諭す。ただし、おかしな社長のもとに素晴らしい人材が集まることはないという真実から、社長自身のあり方も戒める。
理念・ビジョンを示し、様々な決断を下し、結果責任を負うのは専ら社長の役割だとして、その点ではワンマン経営を肯定。「優しいだけより厳しい上司のほうが部下は早く一人前になる」「部下の不安は聞き、不満は聞き流せ」とハードにして合理的な一面ものぞかせる。そのうえで「会社は大人の学校」であるべきだとの理想を掲げ、社員が楽しく成長していける場づくりを提案している。
(久島豊樹/HRM Magazine より)