辞めてもらいたい人の基準とは?
著者・溝上 憲文
プレジデント社、定価1500円+税
企業業績が好調でも、パフォーマンスに合わない・変化についていけない人材には退職を促すという最近の動向を捉え、著者は「常時リストラ」と名づけている。そこで具体的にどのような人が切られるのかを掘り下げ、評価基準には明文化されない裏ルールに踏み込んで分析したのが本書だ(ベースは人事担当者100人へのヒアリング)。
あえてパターン化すると、「チームワークに不向き、協調性がない社員」「ムダな仕事ばかりやる非効率社員」「遊びを優先する私生活重視社員」となり、大括りには多くの読者も納得できるかもしれない。しかし、人事担当者の個別のコメントからは意外な厳しさもうかがえる。特に各社は30代社員への見極めを先鋭化していて、成長が止まった場合は不良資産化する前に早めの処分を考えるのだという。「抜かれて抜き返す気力がない人はアウト」との発言はまさに象徴的だ。
世代別・業種別・役職別に次々にダメ基準が列挙されるなかにあって、章を改めて整理された「会社から見捨てられないための7カ条」には救われる。
(久島豊樹/HRM Magazine より)