「誰もがいつかは社外に出る」前提でキャリアを考える
著者・平康慶浩
日本経済新聞出版社、定価850円+税
会社員生活で直面するいくつかの「選択」をキーに人事コンサルタントの著者がキャリア形成のヒントを示してくれている。アドバイスに先立ち、今の時代は会社のあり方がそもそも一律ではなく、大きく3つのタイプ(ロイヤリティ型、環境適応型、自立型)に分かれていると分析。従って、個人の動き方も会社のスタイルによって変わるとし、複数のルートを示唆している。
選択のテーマでは、例えば「残業するか、早く帰るか」「社内の飲み会に行くか、プライベートを優先させるか」「異動を受け入れるか、今の部署で専門性を高めるか」といった項目が並ぶ。いずれも「こうすれば出世できる」と安直に断じるのではなく、人事制度とキャリアの関係を丁寧に解きほぐしていく論理的なスタンスゆえ、内容の密度は濃い。
「誰もがいつかは社外に出る」という絶対条件を視野に入れ、そうであるならエンプロイアビリティを超えてセルフマネジメントアビリティを磨くべきではないかとも説く。ユニークな書名に託された真意はそのあたりからもうかがえそうだ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)