人事部が明かすサラリーマンの真相
著者・溝上憲文
プレジデント社、定価1500円+税
「昇進・昇格の基準」「給料・評価の尺度」「採用・入社の条件」「雇用・退職の境目」「リストラ・解雇の手法」の5つの切り口から、会社員に差し迫る働き方の変化をレポートした1冊。見開き1話の読みやすい構成、計118話に及ぶ豊富な題材、人事担当者の肉声で語られる本音の数々に、いやでも興味を誘われる。
同期入社の7割が課長まで昇進できたかつてと異なり、今は3割しか管理職になれない狭き門の実態を捉え、各社の昇進条件から、“仕事ができて,部下育成に熱心で、周囲に敵を作らず、リスクを管理したうえで果敢に攻め、さらに英語力を備えた人材”という超人的なスペックを浮き彫りにしている。サクセッションプラン、ローテーション、多面評価等で納得感のある人事を目指しつつ、役員の横やりに苦しんだりしている人事担当者の姿には同情も禁じえない。
自殺、不倫、横領、マルチ商法勧誘といった社内を揺るがす事件と人事部長の対応ぶりを20話にわたって紹介している最終章も、ミステリー小説に似た面白さが際立つ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)