「40代ショック」に悩む女性心理とは
著者・香山リカ
中経文庫、定価650円+税
現代女性にとって、40代はある種の“鬼門”らしい。就職、結婚、出産、仕事など20~30代までの“バリバリ生活”への疑問が沸いてきて、「私って何だったのか」という、人生における根源的な問い掛けが生じる時期。精神科医の著者の診察室を訪れる女性に多いという。
立場はさまざま。キャリアウーマンあり、専業主婦あり、結婚した人しない人、子供のいる人いない人……。著者が太鼓判を押すスーパーウーマンでさえ、「これでよかったのか?」と思う自信のない人が少なくないというから、世の中わからない。
そうした数多くのカウンセリングなどを通じて、著者は「ムリをしないで」「自分らしさは考え方次第」などと実に優しいアドバイスを送る。これが著者の人気を支えているのであろう。女性に限らず、社会全体に「甘えの構造」が充満している現代日本では、強烈な叱咤激励や自己主張よりも、悩める女性に寄り添う姿勢の方が共感を得られるようだ。
本書は新聞、雑誌などに掲載したコラムをまとめたもので、「クリぼっち症候群」「心の難民にならないために」など全5章で構成。相変わらず、読みやすい文章は秀逸だ。(のり)