“やらされ感”から脱出する方法とは?
著者・菊入 みゆき
経団連出版、定価1300円+税
20年以上にわたるコンサルティングや研修の実績をベースに、モチベーションの仕組みと向上策を解き明かした1冊。モチベーションのポイントは、意欲と成果の間に機能する「正のスパイラル」にあると見抜き、個人も組織も、そのサイクルにカットインできれば、状況は好転すると処方を綴っている。
とりわけカギの1つとしてクローズアップされているのが「内発的動機」だ。本人の意見を尊重し、物事を自分で決められるように導くことで有能感が刺激され“やらされ感”からの脱出も実現すると指摘している。具体的手段では、目の前の上司が「褒める・期待する・キャリアや目標を支援する」のは当然ながら、状況を共有する仕組みを築いたり、一体感を醸成するイベントを開催したりするなど組織的な取り組みもより有効だとされる。また、順風で加速する人、逆境で奮起する人などタイプが異なる人材を配置することで組織はより強くなれるとし、人事異動にも工夫の余地を求めている。
モチベーションをテコに組織全体を好転させていく方法論は要注目だ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)