こじれる前にかまってあげよう!?
著者・大野 萌子
ディスカヴァー・トゥエンティワン、定価1000円+税
“自分は周囲から大事にされていない”と感じ“かまってくれなきゃイヤだ”とばかりにこじれる問題社員を本書は「かまってちゃん」と名付けている。「やる気が出ない」「会社に行けない」「上司が悪い」「希望が通らない」「会社はブラックだ」「パワハラだ」と他責的な言動を示すことが多く、承認欲求が満たされずに強烈な不満を抱いているケースが典型だという。
原因をさかのぼれば、反抗期を封じられた親子関係、競争を避けてきたゆとり教育、生身の対話を必要としないネット社会などが疑われると分析しつつ、現実問題としては、こじれる前に上手にかまってあげる手段が有効だと述べている。そのカギは、雑談や飲み会を含むコミュニケーションの促進、会話時の傾聴の姿勢、毎日のあいさつといった基本にあるようだ。
書名のユルさから問題児を茶化すような軽さを想像するかもしれないが、実質は、「産業カウンセラーが解説する“うつ社員”発生予防ガイド」とでもいうべき真面目な内容であり、職場を預かる皆様に一読をお勧めしたい。
(久島豊樹/HRM Magazine より)