巨匠級の人たちの働き方とは?
著者・川村 元気
集英社、定価1400円+税
誰もが知るクリエイティブ系“巨匠級”の大御所12人にインタビューを試みた贅沢な編集企画だ。その巨匠たちに1979年生まれの著者が「30代の頃、何をしていましたか?」と掘り下げていく。本書のタイトルに句点「。」がついているのは、お金のためではなく人生を楽しくするための仕事を表現したかったからだと著者は説明する(「労働」と区別する意味か?)。
聞き手も語り手も会社員からは距離のある立場でキャリアを積み、また何十年も前のエピソードも含まれるので、皆さんの“働きぶり”は組織のしがらみや労基法の制約なんかとは無縁だ。「30代は寝てるヒマなんかないでしょ」(秋元康氏)との発言もあるように、若い頃のジャンルを越えた様々なインプットがその後の成果に大きな影響を与えている因果律は読み取れる。昔話に終わらせず、人の持つ根源的な力(価値観、原風景、勇気、野心、嫉妬のエネルギー、開き直りの力など)を引き出しているのは、インタビュアーの力量でもあろう。
読後は少し視野が広がり、人の持つ可能性をまだまだ信じてみたい気にもなる。
(久島豊樹/HRM Magazine より)