実務が優秀すぎる人は残念?
著者・本田有明
PHP研究所、定価840円+税
自分の仕事が手一杯で部下に向き合わなかったり、“見守る”はずが“見放すだけ”だったりと、「いまどきの上司」には部下を育成する力が欠けているのではないかと疑う著者は、内外および独自のリーダー論を縦横に語っている。ダメな上司をタイプ別に分類し、傾向と対策、是正の処方箋まで示しつつ、ダメぶりをたたくというより、叱咤激励するスタンスなのでどのページも勉強になる。
部下を育成する意思のない放任上司も問題ながら、パワハラ同然に部下を潰しにかかったり、不正に荷担させたりするひどい上司も登場する。なかには、本人の実務スキルが有能すぎるゆえ上司としてはダメな残念なケースもあり、部下の面倒を見ない“優秀な専門職”より、部下の面倒を見る“並の管理者”のほうが成長の機会を提供するという点では“マシ”だと、逆説的な真実を見出している着眼も面白い。
飲みニケーションに頼るのではなく、仕事を通じて正面から部下に向き合うために何をするのが上司の役割なのか、リアリティーを伴って理解が進む1冊。
(久島豊樹/HRM Magazine より)