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2014年5月10日

【この1冊】『35歳からの女性が活きる仕事術』

女性のキャリア形成を応援、10日に記念イベント

c140510.jpg著者・パソナ「働くオトナ女子応援プロジェクト」
文芸社、定価1200円+税

 

 今や官民挙げて「女性の活用」がキーワードに。女性が活躍できるかできないかが、日本経済の命運が決まるかのような勢いだ。しかし、そこまで期待されている女性も、自分自身の仕事となると考えてしまう人が多いようだ。男性と違い、結婚、出産、育児、介護など、仕事以外のこともこなさなければならない人が多く、働き方も男性向けだった「フルタイム終身雇用型」だけとは限らないからだ。

 本書はそんな女性たちに向けたキャリア解説だが、「自分のスキルはどこでも通用するのか」「ブランクがあっても、再挑戦できるのか」など、年間10万人の女性の相談に乗っている人材ビジネス会社らしい、極めて具体的なレベルから入っているので、とてもわかりやすい。

 とりわけ、かつては派遣社員にも「35歳の壁」という目に見えない“定年”があり、そうした女性の就労支援を重ねてきただけに、豊富なノウハウが蓄積されている。パソナは2011年暮れ、社内に「働くオトナ女子応援プロジェクト」を発足させ、現在、11人のキャリアママが復職支援セミナーなどを実施中。本書もプロジェクト員の4人が執筆している。後半には経理、オペレーター、通訳、ハーブ園経営者など、自分のキャリアを自身で創ってきた10人の「好事例」を紹介している。

 ただ、派遣を含む非正規社員は正社員よりも賃金水準に敏感だが、本書ではほとんど触れていない。現実には「時給」もキャリア形成や生活維持の重要なポイントである以上、その辺はもの足りない。

 なお、パソナは発売日の10日午後、東京・大手町の同グループ本部で出版記念イベントを開く。無料。キャリアカウンセラーの藤井佐和子氏の講演、先輩「オトナ女子」の体験談などを予定している。(のり)

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