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2014年5月 3日

【この1冊】『劣化するシニア社員』

シニア人材の暴走が始まった!

c140503_1.jpg著者・見波 利幸
日本経済新聞出版社、定価850円+税

 

 本書が問題視する「シニア社員」とは、主に定年後再雇用された60歳以上の従業員たちのことだ。たいていは処遇も配属も変わり、新しい職場での再出発となる。しかし、役職感覚が抜けず周囲を部下のように扱ったり、上司の指示を無視したり、若手を叱りつけたりと“暴走”する。あるいは、 雑用は嫌がるくせに新しいスキルは学ばず、“ご意見番”を決め込んで説教や無駄話に興じてばかりといったケースもあるようだ。人手が足りないからシニア人材を受け入れたある職場では「戦力にならないうえにノー残業デーを提案してくるなんて神経を疑う」と相当に困惑している様子を語っている。

 そこでカウンセリングを担当する著者は、両サイドの言い分を整理。シニア側の認識不足がトラブルを生んでいる一方で、現場の配慮不足や受け入れ体制の不備がミスマッチを拡大させている側面もあると指摘する。

 中高齢者雇用の義務化が進む今後、この手の混乱はさらに多発すると予測される。シニア・配属先・人事担当者の3者にとって重要な示唆が盛りだくさんの論考だ。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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