ビー・スタイル ヒトラボ編集長 川上敬太郎氏
休日、珍しく勉強していた小学3年生になる長女が質問してきた。
ぴったりの文字数で解答しなければならない国語の問題。どうしても一文字足らない、と言うので調べてみると「生もの」と書いてある。
父「これさあ、ひょっとしてひょっとすると、“生きもの”とちゃうの?」
娘「あっ、ほんとだ」
父「“生もの”と“生きもの”は、だいぶちゃうぞ。生きものに失礼やぞ」
娘「うん、わかった!」
ほんまにわかったんかいな、と思いながら不安を拭えないでいると、また長女が私の所にやってきた。再びぴったりの文字数で解答しなければならない問題。今度こそ、どうしても一文字足らない、と言い張るので見てみると、
父「これさあ、ひょっとしてひょっとすると、“アホウドリ”とちゃうの?」
娘「あっ、ほんとだ。」
父「“アホウドリ”と“アホドリ”は、だいぶちゃうぞ。アホウドリに失礼やぞ」
娘「うん、わかった!」
アホなのは、鳥ではなくて君ではないのか、という疑問をぐっと飲み込んだ。
「生もの」と「生きもの」、「アホドリ」と「アホウドリ」。一つ文字が違うだけで、随分と意味が変わるものだが、「伝える」と「伝わる」も、一文字違いで大きく違う。
非正規社員=派遣社員という誤解。派遣社員の数は非正規社員の内の5~6%に過ぎない。94~95%はパート・アルバイトなど派遣より待遇の低い非正規社員なのだが、そのような実態がほとんど伝わらず、全労働人口の40%に達しようとする非正規社員の全てが派遣社員であるかのような誤解を招いている。
マスコミが伝えるイメージが、現実と違う形で伝わることの罪。
などと嘆いていたら、悲しい知らせが届いた。テレビ番組「ほこ×たて」が不祥事で放送を打ち切るという。この番組のファンだった私が残念がっていると、妻が同調してくれた。
「不祥事は良くないことだけど、あの番組のコンセントは良かったよね」
たった一文字違いでも、「コンセント」と「コンセプト」は全く違う。最初は何を言われているのかさっぱり分からず、頭の中で翻訳完了するまでしばらく時間がかかった。
長女は間違いなくあなたの子です。母娘そろって、いい加減にしなさい。