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2013年10月 5日

【この1冊】『こうして解決する!職場のパワーハラスメント』

「指導」と「パワハラ」の違いは……

c131005.jpg著者・野原 蓉子
経団連出版、定価1000円+税

 

 職場のパワーハラスメント(パワハラ)はある意味、セクシャルハラスメント(セクハラ)より始末が悪い。セクハラは通常、男性が女性に仕掛ける嫌がらせだからイメージしやすく、仕事と直接には関係ないケースも多いからだ。

 しかし、パワハラとなると、通常は上司から部下への「暴力」ではあるものの、仕事の中で生じることが圧倒的に多いため、どこまでが「厳しい指導」で、どこからが「暴力」なのか、線引きが困難な場合が多い。昔の暴力的指導で育った現在の上司の中には、「何でこれがパワハラなのか」「危なくて注意もできない」と戦々恐々としている人も少なくないのでは。

 本書は、そんな上司にぜひ勧めたい1冊。「パワハラとは何か」に始まり、企業の対応策、窓口申し立てへの対処法、パワハラ防止の具体策、と記述が具体的でわかりやすい。最後に12の具体事例を挙げ、細かく解説しているのも親切だ。

 著者はこの道30年を超すベテラン産業カウンセラー。単にパワハラかどうかを判断することから抜け出し、裁判ざたになる前に、企業としてどういう対応ができるかを提案している。豊富な相談事例を基にしているだけに、説得力がある。それにしても、現代の上司のみなさん、お疲れさまです。 (のり)

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