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2013年7月25日

木曜日のつぶやき82・ドラマの世界のリアリティー

ビー・スタイル ヒトラボ編集長 川上敬太郎氏

 自分にとっての日常がTVドラマになった経験はおありだろうか。

 TBS制作のドラマ「半沢直樹」。原作は池井戸潤氏の『オレたちバブル入行組』シリーズ。友人から文庫本を譲り受けて読み進めていたところに、偶然にもドラマ化されたと知って驚いた。接点のある銀行関係者数人に聞いてみると、案の定、全員が見ているとの回答。

c130725.jpeg 銀行関係者に質問して面白かったのは、そのリアルさについて尋ねた際の感想に差異があったことだ。ある人は「現実ではありえない」と答え、ある人は「一部分はリアルだ」と答え、別の人は「まさしくリアルだ」と答えた。

 ドラマは上司と主人公との攻防を軸に描かれる。上司からの不当な扱い、根回しや保身といった、どんな組織にもありがちな理不尽さに、銀行関係者でなくともどこか身につまされる人は多いのではないだろうか。

 考えてみると、ベストセラーになった小説や高視聴率のTVドラマ、興行収入記録を打ち立てた映画などの面白さは、物語の舞台が視聴者にとってリアルかどうかなどは関係ないように思う。ハリー・ポッターなど、現実だったらとんでもない話だ。

 人は、そこに現実そのものが描かれていなかったとしても、表現されている状況や登場人物の生き様などに、どこか自分をオーバーラップさせるのだと思う。

 2007年に放送された「ハケンの品格」。篠原涼子さんや小泉孝太郎さんなど豪華キャストでとても面白いドラマだったが、舞台となった人材派遣業界人の1人である私から見ると、リアリティーはあまり感じなかった。

 それでも「ハケンの品格」が高い視聴率を獲得していた理由は、主人公である派遣社員、大前春子の生き様や価値観への共感があったからではないか、というのが私の勝手な分析だ。少なくとも私はそこに共感していた。

 それはそれとして、人材派遣サービス現場で起きている現実を描写したドラマも小説も見たことがないのは残念なことだ。こんなにも日々、ドラマチックなことが起きている業界も珍しいと思うのだが、なぜだろう。

 人材派遣サービスに携わる者は、熱く真摯(し)な思いで仕事をしている。人を右から左に流してピンハネし、暴利を貪っているような業界では決してない。

 いつの日か小説やドラマなどで、人材派遣業界のリアルが伝わることを願う。

 

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