代表的な社会学者によるキリスト教入門対談
著者・橋爪大三郎、大澤真幸
講談社現代新書、定価840円+税
現代日本の代表的社会学者によるキリスト教の入門的対談集。そのわかりやすさから2012年の新書大賞1位となった。
西欧近代の歴史、社会、文化、芸術を語る時、「日本人にとって大きなつまずきの石」となっているキリスト教を巡り、大澤氏が「挑発的質問者」となって、「現代日本で最も信頼できる比較宗教社会学者」(大澤氏)の橋爪氏に分かりやすく答えてもらう、という形で対談は進む。
「一神教を理解する(起源としてのユダヤ教)」、「イエス・キリストとは何か」「いかに『西洋』を作ったか」の3部構成になっているが、それぞれ、キリスト教信者ではない普通の人が感じる疑問について、分かりやすく説明しており、知的好奇心の赴くまま読み進むことができる。
西欧近代の歴史、社会、文化、芸術を考える時、キリスト教に関する知識が不可欠であるにもかかわらず、日本に適切な入門書がなかった点は意外な気もする。ようやく、その欠落を補ってくれる書が出てきたわけで、西欧近代を考えるうえでの必読書と言っていいだろう。 (酒)