「まだイケる」熟年世代へのエール
著者・宮本 まき子
東京新聞、定価1200円+税
団塊の世代のリタイアが本格化して、日本はヒマなじいさんばあさんだらけの超高齢社会に突入した感があるが、著者は「“晴耕雨読”は20年早い。枕を捨て、街に出よう」と熟年パワーの発揮を勧める。熟年の持つ「豊富な経験+広い視野+調整力+行動力」をもって時代を後押しできると言う。
第1章の「今こそ自分に喝(かつ)を入れるとき」から、第5章「社会と向き合って“日本再建”」まで、とにかく面白い。金持ちより「友だち持ち」を目指す、「さっさと結婚しろ」と言える親になる、住まいをリフォームして夫婦再生など、歯切れ良い提言、皮肉がポンポン飛び出す。読む方は爆笑、苦笑い、ニヤニヤ……。電車の中では読まない方が良さそうだ。
著者も団塊世代の家族問題評論家。 20年以上にわたって出版社の電話相談員として、さまざまな相談を受けてきた体験を基にしているだけに、「なるほどねえ」と読む側を納得させる。とりわけ、多くの団塊世代が子育ての甘さを反省しているが、「いい加減、子離れせよ」と強烈なメッセージを投げつけるあたりはスジが通っている。
「豊かな日本」の先行きには、なぜか悲観論が多い。だれが、こんな国にしたのか。そんな反省も手伝ってか、多くの団塊世代は「老後は子供に頼らず、自分たちのことは自分たちで始末をつけよう」と思っている。本書は、そんな熟年たちにエールを送る読み物でもある。ありがたいが、読後は笑い過ぎて腹が痛い。 (のり)