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2013年1月26日

【この1冊】『サラリーマンは、二度会社を辞める。』

中高年勤労者の通過儀礼とは?

c130126.jpg著者・楠木 新
日本経済新聞出版社、定価850円+税

 

 「石の上にも3年」「一人前になるまで10年」「40歳定年」「70歳現役」「人生80年時代」といったキャリアの節目を時系列で追いながら、中高年勤労者の「こころの定年」にスポットを当てている。パターンは人それぞれながら、40歳を過ぎると、病気、リストラ、自然災害などをきっかけに何らかの転機に直面すると述べ、著者ご自身も40代後半にうつ病に罹り、職を投げ出した経験を告白する。

 誰しもキャリアはどこかでつまずき、その際は一直線のレールから自由になる発想が求められるとも語る。学生から社会人への切り替えと同様、中高年期にも「通過儀礼」が訪れると覚悟を迫り、その乗り越え方を読者ともに模索する目線だ。ただし、思考は左右に揺れ“この方法で行くべきだ”といった力強いアドバイスは最後まで示されない。

 「白黒を付けないことで得られる自由の余地」「例えば、会社を辞めても仕事をやめないポジション」といったグレーゾーンを例示しながら、先達の生き方の紹介などを通して、中高年読者が自ら歩むべき足元を照らしている。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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