ガイシで働く覚悟はあるか?
著者・佐藤 智恵
新潮社、定価720円+税
外資系勤務の現役・OBら50人以上にインタビューを試み、ご自身のキャリアと重ねて「入門ガイド」に仕上げている。外資系の職場には特有の流儀があるとし、採用から退職までを経験ベースで生々しく描写している。
例えば採用面接では「歯並び」(容姿というより“育ち”をチェック)や「肥満」(医療費コストを懸念)に厳しい事情が記述されている。採用後は、初日から一人前の言動が求められ、1週間以内に“すでに貢献している姿”をアピールできなければ無能に見られる緊張感も指摘、「外資系の職場は人を育てる場ではなく即戦力を発揮するところ」と心得を諭してくれる。人事のルールも日本企業とは違う。プロ指向が強い職場・ポジションでは「アップ・オア・アウト」の仕組みで、2~3年で昇進か退社を迫られる。ただ、外資で働くことについては「つらかったけれど働けてよかった」といった肯定的な回答が多く、成長感・達成感は大きい様子だ。
マネジメント系のアプローチではないので、肩の力を抜いて彼我の差を楽しんで読み通せる。
(久島豊樹/HRM Magazine より)