今年は厳しい残暑のお陰で紅葉シーズンは遅れそうだが、そろそろ楽しめそうな季節になってきた。11月はピックアップコラムの「花鳥風月」をお休みして、昨年に続き、古寺の紅葉をご紹介する。今年は関東の古都、鎌倉。
禅寺を彩る赤の世界
JR横須賀線、北鎌倉駅の前。多くの観光客はここで降りて北鎌倉の寺々をめぐり、巨福呂坂の切通しを経て鎌倉市の中心街へ入る。この地の利もあって、この寺は年中、混雑する。紅葉シーズンはなおのこと。
石段を上がってくぐる総門、風格のある山門、仏殿、方丈をはじめ、数々の建物や塔頭が並ぶ大寺。仏殿の本尊、宝冠釈迦如来坐像(高さ2.6メートル)は厳しい端正な顔立ちで、これだけが鎌倉期の名残り。あとは火災などで失われ、後世の補修という。写真は境内から紅葉の奥に山門を臨んだ。
この寺と「元寇」とは切っても切り離せない。創建は2度目の「弘安の役」翌年の1282年(弘安5年)。8代執権の北条時宗が開基、宋の無学祖元が開山となり、建長寺に次ぐ鎌倉五山の第2位。