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2012年11月 3日

【この1冊】『やっぱり日本人は米だ!!』

幻の酒米「白藤」復活に挑戦、成功

c121103.jpeg著者・中村 信也
アビーム出版、定価1800円+税


 日本人のコメ離れが止まらない。ラーメン、パン、肉類などに押されて、今現在まで消費量をジワジワ落とし続けている。これに敢然と立ち向かったのが本書だ。

 「第1編 お米は日本人の魂だ!」から「第5編 外国のお米事情」までおコメのすべてを解説している。著者は医師であり、女子大で栄養学を教えている大学教授だが、本書ではコメのルーツ、栄養価、田植えと稲刈り、値段の変遷、自由化の歴史など、多方面にわたって解説。

 さらには、「米」の文字の由来に始まり、皇室の新嘗祭(にいなめさい)など、数々のコメにまつわる季節行事も紹介。合間に「村祭り」などの唱歌や童謡も挿入しており、栄養学にとどまらない、奥の深い「コメ文化」の解説書といった趣だ。

 著者は、新潟県で昭和初期まで栽培され、絶滅した幻の酒米「白藤(しらふじ)」の復活に挑戦。新潟市の上原酒造、長岡市のエコ・ライス新潟とタイアップして見事に成功させた。毎年、学生を新潟県の田んぼに連れて行き、田植え、草取り、稲刈りをする「白藤プロジェクト」を定着させた行動派の先生だ。

 豊富な写真とエコ・ライス新潟に寄稿したお米エッセーも収録、楽しい1冊に仕上げた。そりゃね、日本人なら、やっぱりご飯でしょう!(のり)

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