デキる若手の巣立ちを支援せよ
著者:太田 肇
PHP研究所、定価840円+税
様々な機関が公表している「若者の安定志向」という調査結果は、実は建前の反映にすぎず、デキる若手ほど本音の部分では独立やステップアップ転職に意欲的ではないかと著者は疑う。そして、定年までブラ下がるより、独立という夢のために全力で働く人材のほうがよほど信用できると、その存在を肯定的に認めている。
その上で、ビジネス環境が激しく変化している今、人材を抱え込むストック型人事は企業側にとってもリスクが大きいとし、一定の代謝を前提としたフロー型人事への転換を示唆している。「2:6:2」の上位「2」の部分が卒業していけば、中位の「6」から優れた人材は育つと述べ、「巣立ちの支援」を提案。また、企業側が人材を抱え込もうとしなければ、働く側も独立を含めたタブーなきキャリアを見据えることができ、青天井のやる気が生まれるとし、独立志向の人材が目先の待遇を気にせず思い切り働く特性にも期待を寄せている。
人材は5年~10年で巣立つという前提に立てるかどうか、人事戦略の岐路が問われる論考だ。
(久島豊樹/HRM Magazine より)