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2012年9月29日

【この1冊】『新版 人が育つ会社をつくる』

キャリア支援のスタイルが変わる

c120929.jpg著者・高橋俊介
日本経済新聞出版社、定価1700円+税

 

 キャリア研究の第一人者である著者は、人事担当者が漠然と実感している“人が育ちにくい現状”を多角的に分析し、若手が育つ条件を本書に提示している。独自の定量調査およびインタビューの結果から、改めて若手と組織のギャップを明らかにし、企業側にはマネジメントスタイルの変更を求めている。
 極論すると、「企業主導」「正社員・出世モデル」「先輩・上司による指導・OJT」の3つが機能不全に陥っているとされ、コミュニケーション研修や、ローテーション、自己啓発支援などでは解決できない次元だと指摘。育成の鍵を「成長実感」に見つけ、チャレンジングな課題、コーチング的支援、健全なプレッシャーといった促進策を提案している。
 「辞める奴には教えない」といったOJT主体ではなく、「辞めても仕方がない」という前提でOff-JT投資を惜しまない姿勢が有効だと育成スタイルの大転換を迫る一方、若手側にも専門性への狭い思い込みや売れるスキルを焦るのではなく、幅のあるキャリア観を醸成すべきだとメッセージを綴っている。

(久島豊樹/HRM Magazine より)


 

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