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2012年8月25日

【この1冊】 ブラック会社で出会ったモンスター社員たち

コンプライアンス不在の衝撃!

c120825.jpg著者・高橋咲太郎
彩図社、定価1200円+税


 細部は架空としながらも、著者は実在する中堅不動産会社で“1人法務部”の戦いを繰り広げているご様子だ。顧客・取引先との契約処理で手一杯かと思われたが、実は不良社員たちが次々に引き起こす事件の後始末に追われる日々であった。
 その“事件”とは、事実上の横領・詐欺、著しい職務怠慢であり、普通のコンプライアンス基準に照らせば「即刻懲戒解雇」のはずだが、同社の場合は社長の方針もあり、いずれも「クビにせず、働き続けて給料から返済してもらう」という落着になっている。10数例に及ぶ問題社員・問題行動の異常さには驚かされ、最初のうちは“それ犯罪だろ!”とツッコミを入れたくなるものの、後半は読む側の正義感も麻痺してくるから危ない。企業法務とはいえ、関係者の住民票を取り、現住所におもむき、周囲に聞き込みをし、入出金の証拠を固め、本人に聴取し、ときに警察署へ出向くなど、探偵か刑事のような働き方をしている。
 コメディタッチの物語を楽しめる傍ら、実話であることが改めて恐ろしくなる、スリル満点の1冊。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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