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2012年5月 5日

【この1冊】『おじさん図鑑』

「おじさん」を見た目で徹底分類

c120505.jpeg絵と文・なかむら るみ
小学館、定価1000円+税

 

 社会的には絶大なパワーを持っている(と評者は信じている)にもかかわらず、世の注目をまったく浴びないのが「おじさん」である。若者論は今も昔も定番であり、現代は女性論も花盛り。『「オバサン」はなぜ嫌われるか』といったおばさん分析書も出ているのに……。

 まあ、「おじさん」じゃ、なんとなく面白くなさそうだしね。そんなエアポケット状態だったおじさんの分析書が本書。といっても、表紙を見ればわかるように、おじさん好みのむずかしい分析論ではなく、ほぼ全編、見た目の分類である。

 「普通のスーツのおじさん」に始まり、「ラフなおじさん」「ハイウエストのおじさん」「酔っぱらいのおじさん」「何となく嫌なおじさん」「アート系のおじさん」「いやらしいおじさん」など、さまざまなタイプに分類して、すべてイラスト付き。「こんなの、いる、いる」と笑っちゃう。

 観察場所は、おじさんのメッカである東京の神田神保町(古本屋街がある)や新橋駅前(テレビ取材のメッカ)などが多い。さらに、知人友人のツテで、大阪や名古屋にも出かけて“ご当地おじさん”にも取材、おやじバンドやドヤ街の潜入取材など、著者のおじさん探訪はかなり徹底している。31歳の女性イラストレーターだというから、キトクと言うか、モノ好きと言うか。

 でも、全編から「おじさん、頑張れ!」という温かいエールが感じられる。表紙が強調しているように、若者は「おじさんになる前に、おじさんを知るべきだ」に異議なし!

 と、ここまではいいのだが、若者向けというからなのか、イラストに付いている解説文字が小さ過ぎて、当のおじさんは読むのにとても苦労する。せっかくの“力作”なのに、おじさんはちょっと寂しい。 (のり)

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