古今東西の女傑200人が勢ぞろい
『世界各国女傑列伝』
著者・山田 昌弘
社会評論社、定価2200円+税
世の中には珍本奇本の類が少なくないが、本書などはまぎれもなくその仲間だ。評者はこの種の書が大好きだが、中身が詰まり過ぎて文字が小さいのが本書の欠点です。
題名通り、古今東西の「女傑」「スーパーヒロイン」194人をリストアップして、解説したもの。個々の人物については、その国の歴史に欠かせない存在に違いなかろうが、世界史的には埋もれてしまった女性を大量に“発掘”した。これが本書の最大の特徴になっている。
著者の趣味のようだが、登場人物たちは軍事的に活躍した女性が圧倒的に多い。日本でも有名なフランスのジャンヌ・ダルクをはじめ、本書では各国、各時代の「~のジャンヌ・ダルク」と呼ばれる女性が次々と出てくる。
「男は戦争が好き」「女は戦争の犠牲者」という世の常識に反して、本書の「女傑」たちを見る限り、女性の中にもかなりの戦好きがいるのではないかと思わせる。
日本人の代表は北条政子(源頼朝の妻)、神功皇后(仲哀天皇妃)、巴御前(木曽義仲の愛妾)の3人と、城塞防衛戦で活躍した甲斐姫らが登場する程度。これも著者の趣味によるものか。あるいは、日本にはジャンヌ・ダルクのような“野蛮な”女性は少ないということか。
また、第2次大戦ではソ連の女性飛行士が、ベトナム戦争では南ベトナム解放民族戦線(通称ベトコン)の女性ゲリラが大量動員され、優秀な兵士として大活躍した事実は興味深い。
女性の「社会進出」が進んでいたと考えられないこともないが、アリストファネスの「女の平和」路線の方がやはり女性らしい、と思うのは女性差別かな。 (のり)