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2011年11月 8日

<特集・京の古寺と紅葉②>醍醐寺(だいごじ)

桜に劣らぬ「醍醐の紅葉狩り」 kyouto2 daigoji.jpg

 山科駅から、今度は毘沙門堂とは逆に南下する。市営地下鉄の醍醐で降り、バスで15分ほど揺られると総門前に出る。

 真言宗の大寺院で世界遺産。広大な境内は三宝院で有名な書院や宸殿、醍醐山ふもとの下醍醐、山頂に近い上醍醐に分かれ、それぞれに堂宇が点在する。豊臣秀吉の「醍醐の花見」で知られるように、春は境内中が桜で埋め尽くされる。

 しかし、秋も春に劣らぬ風情があって全山紅葉するため、どこを眺めても赤黄の紅葉を堪能できるが、下醍醐の林泉と弁天堂付近は、あまり歩かなくても済むため人気が高いようだ。池に浮かぶ無数の落ち葉が、赤い弁天堂と一対の美の世界を生み出している。

 それよりも、バス停から総門に至る100メートルほどの参道が、意外な見どころだ=写真。背の比較的低い紅葉が両側を囲み、まっすぐ伸びた平らな参道の奥に控える山門をおおい隠すようだ。

 この寺は不動明王像などの寺宝も数多いが、五重塔(国宝)はじっくり見ておきたい。というのも、平安時代に建てられ、唯一残っている塔だから。江戸期に建てられた東寺の五重塔などと比べるとわかるが、ヒサシの反りが横に広がり、優美な形をしている。市街地には度重なる火災や戦乱で、「平安京」の面影を残す建物はほとんど残っていないので、貴重な建造物だ。

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