「中国でもっとも有名な日本人」による体験的中国(人)論
『中国人は本当にそんなに日本人が嫌いなのか』
著者・加藤嘉一
ディスカヴァー・トゥエンティワン 、定価1100円+税
著者は北京大学に単身留学し、8年間にわたって新聞、雑誌コラム、ブログを通じ、中国の人々へ発信を続けてきた。今や「中国でもっとも有名な日本人」と呼ばれるようになった26歳の若者である。
本書は中国で出版され、若者を中心に大きな話題を呼んだ代表作に大幅な加筆修正を施し、日本語版として刊行されたものである。
反中国か親中国かのイデオロギーにとらわれた類書が多い中、若者の視点で先入観にとらわれない中国(人)論だ。
個人的体験を過度に一般化するリスクは残るものの、真に「日中関係の架け橋」として活躍するこのような若者が出てきたことは喜ばしい限りだ。本来、著者が果たしている役割を担うべき存在である若手の官僚、政治家、研究者らが本書に刺激されて発奮することを期待したい。(酒)