ついに「モンスター」になってしまった!?
『団塊モンスター~“妄走老人”たちの事件簿
著者・高井尚之
文芸春秋社 、定価1200円+税 』
タイトルを見て、「また団塊の悪口か」とややうんざりしながら、手にしてみた。しかし、立ち読みするには中身がつまっているので、買ってしまった。買ってしまった以上、なにも言わないのはシャクだから書いてしまった。
副題にあるように、団塊の世代という「妄走老人」たちの“職場迷惑集”などを60題並べている。退職したのに「オレ中心」、責任者に女性が出るとさらに激怒、女性社員を「ウチの女の子」、体は張らないが文句だけは言う――。
評者が団塊男だけに、思いあたるフシもあって苦笑するが、「2007年問題」当時、後続世代の硬派筋から「なにも生まなかった世代」「日本をダメにした世代」「年金逃げ切り世代」とさんざん批判されたものだ。この期に及んで軟派筋からも嫌味たっぷりに「妄走」ぶりを茶化されると、笑ったあとで落ち込みます。
もっとも、著者が断っているように、事例集は団塊世代だけでなく50~70代と幅広いから、団塊だけの欠陥ではなく、どの世代も歳をとれば似たか寄ったかのモンスターになるというお話ではないか。そう思うことにしよう。
48歳の著者も「人のふり見てわがふり直そう」と自戒を込めて書いたと断っているが、間違いなく立派な「妄走老人」になれますよ。1時間もあれば読めるお手軽書。 (のり)