医療現場の“潤滑油”としての役割を解説
『これがMSWの現場です~医療ソーシャルワーカーの全仕事』
著者・菊地かほる
医学通信社、 定価2000円+税
医療ソーシャルワーカーは病院に勤務し、患者が疾病や傷害などで生じる社会的、精神的、経済的問題などを、患者自身で解決できるよう、福祉の視点から側面支援する仕事。
本書は、医療ソーシャルワーカーの役割があまり認識されなかったころから職務に就き、約30年勤めた著者がこれまでの経験を踏まえ、「医療ソーシャルワーカーとはなにか」を詳しく説明している。
その役割や業務内容、必要な知識・価値観、マナーや心得などの基礎知識、法律的な政策による医療現場の現状、業務との関わり合いなどを明らかにしている。
さらに、40話にもおよぶ、実際に医療現場で関わった医師や患者、患者の家族などの話も紹介している。人間のさまざまな側面を露わにする現実に目を見張るが、そうした現場の側面をフォローする医療ソーシャルワーカーの存在意義や役割はとても重要だ。
本書は、医療ソーシャルワーカーをめざす人にはもちろん、そうでない人にとっても、病気や障害などで困った時に心に寄り添う1冊となるだろう。(のり)